翻訳

又吉さんのおっしゃる「笑い」の語源は「割る」は英語圏のもの?(宇多田ヒカルさんの「Laughter in the Dark Tour」の挿入ビデオ)

普段翻訳をする際に画面を2つ使っているのですが、一つで好きなビデオを見ながら翻訳することがよくあります。素敵な宇多田ヒカルさんのMusic Video「Laughter in the Dark Tour」もお気に入りの一つです。そのコンサートの休憩中に流れていた又吉さんのビデオクリップとっても面白かったです。その中で又吉さんが「笑い」の語源は「割る」という考えがあると説明されていました。今日は英英辞典を調べていて興味深い記述に遭遇しましたのでbFaaaPブログの読者とシェアしたいと思います。

もともと技術翻訳では、製品を検査し評価する段階でしばしば製品に「割れ」があるかどうかという記述が出てきます。残念ながら日本語には単数複数を記載する冠詞のシステムがありません。英語での技術翻訳ではこの単数複数そして不可算名詞を使うことで非常に技術的にクリアーかつ多彩に状況を表現できます。

例えば、「割れ」は一つなんでしょうか?それともヒビが沢山入っているのでしょうか。評価で数を示す場合には数えられる表現の方が翻訳しやすいですね。例えば、割れがないのを評価A、一つだけ「割れ」があるのを評価B、複数割れがあるのを評価Cとするとします。するとこの「割れ」は可算名詞で表現する方が技術的にクリアーですね。その場合、例えばですが、「crack」を使うことを考えます。また、もう一つ脱線ですが、0の場合は「no crack」なのか「no cracks」なのかという問題もありますが、いつかまた暇な時に「0」の取り扱いについて考察してみますね。

ところが、技術評価で数よりは「ひび割れている状態」を評価する場合もあります。つまり現象として表現する方が良い場合もあると思います。その場合は「cracking」として不可算名詞として処理するのが翻訳やすい場合もあります。

そこで本題ですが、この「crack」と「cracking」の英英辞典でのニュアンスの違いを調べていたところ「crack」に「笑い」というニュアンスが記載されているのを発見しました。

crack up [phrasal verb] informal

1 crack up or crack (someone) up or crack up (someone) : to begin laughing or cause (someone) to begin laughing suddenly and in a way that is difficult to control

When we saw the picture, we both cracked up.

That joke really cracks me up. [=I think that joke is very funny]

[メリアム・ウェブスター英英辞典]

どうでしょう。「crack up」とすることで又吉さんのおっしゃっていて笑いの説明に似た様なことが書いているではありませんか!つまり英語でのニュアンス的に「割る(crack)」は「笑い(laughing)」を導く源流となっているようですね。

又吉さんはきっと英語がお出来になるんでしょうね!なんちゃって翻訳者の私は「一つ賢くなりました」。ありがとうございました。

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