翻訳

“Give and Take”の語順に意味がある。

今日は英語表現の語順について考えてみましょうね!今日は祝日ですが、ヘルパーMがいらっしゃいます。

イラスト:塩川紗季

ヘルパーMはドイツにピアノ留学した英検準一級の才媛でもありますので、このブログで何回か登場し(ペダルなしでも弾けるピアノ楽曲(ヘンデル・サラバンド)、「ヘルパーさん」は英語でどういうのだろう?)いろいろ教えてもらいました。また、英文法を扱った記事(「チャレンジド」と「the challenged」と英文法)は、何人かの方に面白かったと言ってもらえました。

そこで、今日は翻訳していて日頃不思議だなと思うことを紹介したいと思います。それは単語の語順です。例えば、技術翻訳をすると必ず出てくるのは「左上図」というような図面の翻訳です。

では、英語で「left upper figure」がどれだけ使用されているかをGoogle先生に教えてもらいました(半角のダブルコーテーションで囲うと表記揺れのないヒット件数を教えてくれます(例、”left upper figure”))。ヒット件数は約5,590件です。

でも、私は米国に何年かいましたが、ほとんどの場合は「upper left figure」というような感覚があり、Google先生に聞いてみました。ヒット件数は約58,000件で、やはり10倍程度の使用頻度の差があります。

日本語の「左上図」は約83,700件、「上左図」は約277,000件ですので、似たような傾向がありますね。

この語順に何か意味があるのかどうかは分かりませんが、翻訳の影響もあるかもしれませんが、文化を超えて共通する「傾向」があるものがありますね。

その他の例として、「充放電(約 2,560,000 件ヒット)」と「放充電(約 739,000 件 ヒット)」の比較では、「charge and discharge」は約5,000,000件ですが、「discharge and charge」は約477,000件ですので、日本は約3.5倍、英語では約10倍使用頻度に差があります。また「左右」は日本語で「右左」とはあまり言わないですよね。「左右」は約 904,000,000 件、「右左」は約 2,660,000 件で使用頻度に約300倍の差があります。英語では「left and right」は約 147,000,000 件ヒットし、「right and left」は約 90,900,000 件ヒットするので約1.5倍の差がありますが、日本語ほど使用頻度の偏りはないようです。

このような単語の語順の文化的背景とかの考察があるのかどうかは知りませんが、言語学が専門ではないのでもしかしたら研究されているかもしれませんね。

さて、今日の本題です。「Give and Take」と「Take and Give」です。

「give and take」は約 21,000,000 件ヒットしますが、「take and give」は約 6,380,000 件で、約3.3倍「give and take」が使用頻度が高いですね。

では、国別で見るとどうでしょう?Google先生に国を指定して検索をお願いすることができて「site:jp or site:us」を検索に加えて日本と米国で使用頻度の差があるのかみてみましょう。

まず、米国では、「give and take」は約 64,700 件 ヒットし、「take and give」は約 18,200 件ヒットするので、使用頻度は約3.6倍ですね。

次に、日本ではどうでしょう?この場合日本語と英語の両方でみてみましょうね。「give and take」は約 40,000 件ヒットし、「take and give」は約 21,300 件 ヒットしますので、使用頻度は1.9倍ですね。おや、少し日本と米国で差がありますね。

日本語の「ギブアンドテイク」は約 56,700 件、「テイクアンドギヴ」は約 54,600 件ヒットします。おや、ほぼ同数ですね。中身をみてみると「テイクアンドギヴ」は会社名にもなっているようでその影響かもしれません。

もともと「give and take」は英語圏の概念でしょうから日本人にはその発想は本質的には理解できないかもしれません。しかし、この語順に文化的意味があると考えるのが妥当のような気がします。

つまり、「give」が最初にあって、その後に「take」があるという意味が文化的に保存されているという考えです。言葉の使用頻度の解析が何か意味があるか分かりませんが、日本では「take」の比重が高くなる傾向があるようです。

今日は休日にも関わらず、ヘルパーMに来てもらう予定ですので、私も「take」が先というか、「give」が無い状態ですね。このように文化的に保存された語順には何かしら意味が隠されていると思うので、できるだけこの語順「give and take」を守ってお付き合いしていきたいものです。おしまい。

関連記事一覧

コメント

この記事へのコメントはありません。