宍戸さんが指導を受けている、山口恭子先生主宰のピアノ教室フルールの、12回目のピアノ発表会が、代々木上原のMUSICASA(ムジカーサ)で開催されました。「bFaaaP」を大勢の前でのお披露目となるので、私は師匠、成沢さんとともに、お伺いしました。
bFaaaP(ビーファープ)とは、足に障がいを持つひとや子どものための、バリアフリーピアノペダルシステムです。ピアノが好きでもペダル操作できなかったひとたちは、ジャイロセンサを取り付けたメガネを掛け、頭を上下に動かすことによりペダル操作ができるので、より楽しくピアノを演奏できます( 2019.03.23)
第1部は、子どもさんの一生懸命な演奏に感動しました。
宍戸さんの演奏は、第2部の最初です。
休憩時間に入り、成沢さんと一緒にセッティングを始めました。
「bFaaaP」は、それぞれのピアノに適した調節ができます。
- ペダルにキズが付かない様に、ペダルに「くつ下」を履かせます。
- 床に滑り止めを兼ねた、防振マットを敷き込みます。
- bFaaaP本体を、出来るだけペダルに近づけて設置します。
- bFaaaP昇降プレートが、ペダルの真上になることを確認します。
- 金属製のプレートの重りを、本体右下部分に、2段分詰め込みます(重りの合計で9kgで、ペダルを反力に対抗します)。
- 本体の電源を入れ、初期設定を始めます。本体コントローラを使用します。
- ペダルの上部停止位置を、ペダル効果が始める直前の位置に合わせます。
- ペダルの下部停止位置を、十分なペダル効果が表れる位置に合わせます。
本体のセッティングが完了すると、メガネに取り付けた角度センサを調整します。
- メガネのフレームに出来るだけ平行に、角度センサを取り付けます(観客から見えない様に、左側にします)
- 角度センサの電源を入れ、初期設定を始めます。角度センサコントローラで、ふたつの数値を設定します。
- 頭がわずかに動いてもセンサが動作しない範囲、「オフセット」を決定します。
- 頭の動きの何倍早く、ペダルを昇降させるのか、その「倍率」を決定します。
- 頭の動きとペダルの動きとが、演奏者の感覚に合っていることを確認します。
「オフセット」と「倍率」は、それぞれの演奏者の好みがあります。
ふたつの数値を自由に設定することにより、宍戸さんにぴったりな演奏ができるはずです。
休憩は終わり、さて、宍戸さんの登場です。
演奏曲は、ベートーヴェン作曲のピアノソナタ、「悲愴」第2楽章です。
宍戸さんは緊張するも、頭の動き、ペダル操作による音の繋がりはとても自然で、「bFaaaP」を使用している違和感を、全く感じさせませんでした。
むしろ私の方が演奏を楽しむ余裕はなく、ただただ、無事に演奏が終わることを祈っていました… 。
演奏が終わり拍手の中、宍戸さんのみならず、成沢さんも私も一安心です。
私の感想を一言にまとめるのなら、「普通の演奏だった」ということです。
普通の演奏なのですが、でも、これってすごいことだと思うのです。
車いすユーザーでも健常者と同じ様に、ピアノを演奏できるのですから。
私が日々の仕事で目指している、「バリアフリー」の理想形です。
無事、発表会での演奏を終えると、次なる課題も見えてきました。
今回の「bFaaaP」は、「bFaaaP4」と名付けた、4番目となるものです。
早速「bFaaaP5」に向けて、ハード面、ソフト面での改良が始まりました。
また、現在出願している特許も、特許査定を得られる様に進めています。
- ・bFaaaPホームページ : https://bfaaap.com/
- ・bFaaaPシステム解説 : https://scrapbox.io/bfaaap/
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