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105_bFaaaP:未知なる装置の初めの一歩

コンクリートの塊を載せた、怪しげな白い箱、中には電子回路や配線が巡っています。これは私たちが「bFaaap-1」と呼ぶ、バリアフリーピアノペダル装置の第1号です。『ピアノのペダルを電動にして、踏み込める様にしたい』この未知なる依頼に答えるために、まずは、どんなものでもいいから、動く装置を作ったのでした。

bFaaaPとは、足に障害を持つチャレンジドや、小さな子どもたちが、ピアノなどのペダル操作をできる様にする、補助ペダルシステムです。「barrier-Free assist as a Pedal」から、名付けました。現在、PCT国際特許(英文)出願中です。

私たち兄弟の永遠のライバルである、大工の父。

山形県西村山郡大江町。

その山奥の集落で暮らしながら、父は大工の修行をしたそうです。

今はありませんが、父の実家、私の故郷の茅葺き屋根の下の、茶の間の囲炉裏は、父の10代のころの仕事だそうです。父は、大工なのですが、家を建てるだけの依頼ではなかったそうです。

父から聞いた昔話の中で、私がもっとも敗北感を感じたのは、林業を営む集落の人たちから、伐採した木を運搬する方法を、と相談された時、父は、山から山へとワイヤーをわたし、伐採した木を滑車に釣り、運びやすくして喜ばれたことです。

それから、60年後、私がこんな装置を作っているのは、何かの因縁なのですかね。もし父が、この依頼を受けたのなら、おそらく天井に滑車を取り付け、演奏者の頭にワイヤーを結び、もう一端をピアノペダルに結び、ペダルを上下させたことでしょう。

ですが、60年後、この様な、プログラミングできる電子回路で、演奏者の頭の動きをセンスし、駆動部へと伝える手段があるのでした。

AI(人工知能)というキーワードを、最近よく耳にします。
このAI技術により、楽譜に合わせて自動演奏する装置などは、すでに、商品化されていることでしょう。

演奏者の意思ではなく、楽譜に合わせて自動的にペダルを踏み込む。
たとえ、便利で上手に演奏できるにしても、その様な装置は、私たち開発者の、目的ではありませんでした。

barrier-Free assist as a Pedal(バリアフリー補助ペダル)から、bFaaaPと名付けた様に、演奏者の苦手なことだけを、アシストしてくれる、開発当初からの一貫した思想なのです。

その一貫した思想のもと、どんなものでもいいので、何より動作するペダル装置を作る、これがこの「bFaaap-1」です。
この「bFaaap_1」を使いながら、問題点や改善点を見つけ、その後の「bFaaap-2」「bFaaap-3」へと、繋げていくこと。

その開発を進めていく中、なぜか私は、住まいを思うのでした。
私の生業の住まいづくりとは、まるで無関係なのに、なぜか住まいを、バリアフリー住宅を強く思うのでした。

あたり前のことが、あたり前にできる」

いたって普通のことなのですが、これは住まいてさんに対する、私の態度であり、大げさにいうのなら、私が生きることの哲学です。
単に「便利なモノ」を作るだけではない、その様な哲学のもとに、「便利なモノ」を作りたいのでした。

これが永遠のライバルである、「父」に勝つための、私の戦法です。

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