bFaaaPとは足に障害を持つチャレンジドや子供達が使用可能なピアノの補助ペダルシステムで、「barrier-Free assist as a Pedal」の頭文字をとって名付けました。ピアノの演奏が好きであってもペダル操作ができないため歯がゆい思いをしてきた人もbFaaaPを使用することでより楽しくピアノが演奏できるようになりました。現在のところ市販する予定はありませんが、ライセンスを受けて受託製造しようと考える方がいましたらご連絡いただけると幸いです。bFaaaPの開発過程で得た知見や製造方法、プログラム等もできるだけオープンにしていきたいと考えています。開発に携わったメンバー自身が一番楽しんでいると思いますし、その楽しみを本ホームページとScrapbox上に開設したbfaaapのページでも共有することができたらこれ以上の喜びはありません。
デモビデオをご覧ください。
謝辞
bFaaaP開発には多くの方の協力がありました。その協力やアドバイスがなければbFaaaPは現在のものにまではならなかったと思います。
補助ペダル効果評価(APEE)試験にご協力いただいた、田野倉綾乃さん、向井加奈子さん、松田卓実さん、松田学さん、山口恭子ピアノ教室フルールの生徒さん、大瀧さんのご家族の皆さまに感謝いたします。
また、開発にあたって専門的なアドバイスを提供くださった荒木みどりさん(MD)と前田真貴子さん(PhD)にも感謝いたします。
さらに、「Arduinoファン」の木檜和明さんと、macsbugさんをはじめとする皆さまには質問へのご回答や各種知識をいただきましたのでお礼を申し上げます。
APEE試験
APEE(Auxiliary Pedal Effect Evaluation)試験は、補助ペダル効果評価試験です。bFaaaPの効果をテストするために被験者をクラスI被験者(成人)、クラスII被験者(子供)、クラスIII被験者(チャレンジド)に分類して補助ペダル効果を評価しました。
試験ではプロトコルに従って、まず、下の楽譜を覚えてbFaaaPを使用せず、音符を引き、その後、bFaaaPを使用してペダルパターンIとIIで演奏してもらいました。その際に好みの頭部傾き角度オフセット値(装置が反応しない角度範囲)と装置応答速度を決定する倍率を各自選択し、試験に臨みました。
そして、波形を解析するためにiPhoneで音を読み込み、波形解析した結果の例が以下のものです。
解析結果をまとめると、
1.bFaaaPを使用して音波にはっきりとした違いがでました(p値が<0.01)。また、ペダルパターンIとIIとの間でも違いがありました(p <0.01)。
2.bFaaaPでの操作と自身の足を使った操作には統計的に違いがありませんでした(p > 0.05)。
3.ピアノ経験五年以上(Group I)と5年未満(Group II)でも統計的に差がありませんでした。
4.被験者のクラス間でも統計的な差がありませんでした。
5.異なるピアノ(K132(Steinway&Sons)、GC1(YAMAHA)、UX(YAMAHA))間では統計的な有意差がありました。
APEE試験の被験者に以下のアンケートを実施しました。
結果は以下のようになりました。
得られたコメントのいくつかは以下のようなものでした(英語に翻訳)。
(1) The eyeglasses-attached sensor is compact and good.
(2) There is some actuator noise, but the noise may let a user know the pedal ON/OFF timing.
(3) The pedal-releasing operation is more difficult than the pedal-depressing operation.
(4) The actuator follows the head movement more naturally than I thought.
(5) Use of horizontal movement of the head may be an option.
(6) I think that the more you practice, the more easily you can use the device.